抗COVID-19治療薬

背景

2021年3月3日の時点までに、COVID-19に対しては、複数のワクチンが優れた有効性を示し、多くの国で製造販売が承認されている。 しかしながら、治療薬に関しては、十分な有効性を示すものが同定されていない。抗COVID-19治療薬の標的としては多くの蛋白質が提唱されているが、 SARS-CoV-2の複製に関わる主要な酵素の一つであり、その構造がコロナウイルス系統間で相対的に保持されていることから、3-chymotrypsin-like protease(3CLpro)が 最も有望な標的として期待されている。また、NKG2A/CD94とHLA-Eの相互作用によってNK細胞やT細胞が疲弊し、SARS-CoV-2感染細胞の排除を妨げることから、 NKG2Aも抗COVID-19治療薬の標的として注目されている。

コンセプト及びアプローチ

インタープロテインは、PCR検査陽性患者の発症をブロックする、種々の病状から回復を加速化する、及び/又は、死亡率を減少させるために、 以下の4つの戦略を策定した。

  1. Structure-based drug discovery (SBDD) の戦略であるINTerprotein’s Engine for New Drug Design (INTENDD®)及び人工知能(AI)を導入した活性予測システムであるAI-guided INTENDD®を用いた3CLproを標的とするドラッグ・リパーパシング(低分子)。
  2. 1.の結果をベースとし、INTENDD® 及び AI-guided INTENDD®を用いた3CLpro阻害薬(低分子)の探索研究。
  3. 立体構造規制ペプチド治療薬用の新しいモダリティであるヘリックス・ループ・ヘリックス・ペプチド(HLHP)技術を用いたNKG2A阻害薬の探索研究。
  4. クルクミン及びクルクミン類縁体の抗COVID-19治療薬としての可能性検討。

戦略1.に関しては、 1741個の既承認薬の中から21個のリパーパシング・ドラッグ候補を提案し、14個(67%)が3CLproに結合することを確認した。この結果に基づき、活性上位の2化合物を選定し、より高活性の類縁体/誘導体を同定するべく、探索的研究を開始した。