NKG2A 阻害薬
背景
NKG2Aは、主に腫瘍組織に浸潤しているnatural killer(NK)細胞やT細胞に発現し、CD94と複合体を形成することにより、腫瘍細胞が発現しているhuman leukocyte antigen-E(HLA-E)に結合します。すなわち、がん細胞は、自らが発現するHLA-EをNK細胞やT細胞のNKG2A/CD94に結合させることで、これらの免疫細胞からの攻撃を免れています。多くの固形がんや血液がんでHLA-E発現の亢進が観察され、さらにいくつかのがん種では、その発現のレベルと予後の悪さとの関連性が示されています。
コンセプト
NKG2A/CD94複合体は、多くの種類のウイルス感染細胞、炎症性細胞、およびがん細胞に発現するHLA-Eに結合しますが、これらの細胞は、HLA-Eを発現することにより、NKG2A陽性免疫細胞による破壊から逃れています。したがって、NKG2A阻害薬で、NK細胞やCD8陽性T細胞などの免疫細胞におけるNKG2Aを介した抑制反応をブロックすることにより、これらの免疫細胞の機能が回復すると考えられます。我々は、NKG2A阻害薬がNK細胞とT細胞を同時に活性化し、より強力な免疫チェックポイント阻害薬になることを期待し、NKG2A/CD94複合体に結合するヘリックス・ループ・へリックス・ペプチドをデザインしました。