TIM-3 阻害薬

背景

免疫チェックポイントであるcytotoxic lymphocyte antigen-4(CTLA-4)やprogrammed death-1(PD-1)に対するモノクローナル抗体は、いくつかのがん種において、単剤もしくは併用で高い有効性を示しています。また、他の免疫チェックポイント阻害剤も有効性が期待され、開発が進められています。CLTA-4およびPD-1は、適応免疫システムにおいてT細胞抑制的に作用することから、我々は、適応免疫システムのみならず、自然免疫システムにおいても抑制的に作用するT-cell immunoglobulin and mucin domain 3(TIM-3)を新たな標的として設定しました。

コンセプト

TIM-3は、galectin-9、phosphatidylserie(PtdSer)、CEACAM-1、およびhigh mobility group box-1(HMGB1)の4つのリガンドと結合することが報告されています。これらのうち、galectin-9およびCEACAM-1はT細胞制御に、HMGB1およびPtdSerは自然免疫システムに関与することが知られています。最近、HMGB1が、腫瘍組織に浸潤している樹状細胞(DC)上に発現しているTIM-3に結合することにより、核酸をDCの細胞内に到達させ、DCを刺激するというHMGB1本来の機能が阻害されているとの報告もなされました。我々は、TIM-3に結合するヘリックス・ループ・ヘリックス・ペプチドを既に取得し、新たな免疫ポイント阻害薬として開発することを目的として、現在、TIM-3と種々のリガンドとの結合に対する作用を慎重に評価しています。