RUNX1 阻害薬
背景
Coe-binding transcription factor(CBF)は、幹細胞の自己複製、組織の分化、およびがん細胞の生存/増殖などにおいて重要な役割を果たしています。また、CBFはα鎖、β鎖の2つのサブユニットからなるヘテロ2量体であり、通常は、α鎖がDNAに結合し、β鎖はその安定化に寄与していると考えられています。RUNX1(AML1とも呼ばれます)は特に造血反応の際にその発現が亢進するCBFαサブユニットに相当する分子ですが、ある種の白血病の病態にも深く関与していると考えられています。
コンセプト
RUNX1とCBFβは、急性骨髄性白血病(AML)などの血液疾患に伴う染色体の変化にしばしば関連しています。例えば、染色体8番および21番が関わる転座は、RUNX1およびETO遺伝子を融合させ、結果的にがん融合蛋白であるAML1-ETOの発現につながります。造血細胞におけるAML1-ETO融合蛋白の発現は、細胞成熟のステージ特異的な休止、細胞生存の延長、および白血病の発症などに関連しています。そこで我々は、新しいAML治療薬の実用化を目指し、RUNX1阻害薬の探索を開始しました。