gp130 阻害薬

背景

インターロイキン-6(IL-6)は、宿主防御反応において重要な役割を果たしていますが、その過剰発現は、種々の炎症性/自己免疫性疾患およびがんの発症・悪化につながります。IL-6は、細胞膜上のIL-6受容体α鎖(IL-6Rα)に結合した後、さらにgp130とも結合し、ヘテロ3量体を形成します(classic signaling)。また、IL-6が、細胞膜から遊離した可溶性IL-6Rαと結合した後、細胞膜上のgp130と結合してヘテロ3量体を形成することも知られています(trans signaling)。この3量体は、ホモ2量体化反応を介して6量体を形成することにより、強力なシグナルが細胞内に発せられます。すなわち、gp130の細胞内ドメインがキナーゼ(JAK1、JAK2、 JAK3、およびTyk2)によってリン酸化され、さらに STAT3のリン酸化が起こります。リン酸化されたSTAT3は核内転写因子として重要な役割を果たします。

コンセプト

IL-6受容体を介したJAK/STATシグナリングを制御する目的で、我々は、2つの異なるアプローチで研究を開始しました。1つはgp130に結合することにより、3量体内のIL-6とgp130の結合を阻害する低分子化合物、もう一つはIL-6/IL-6Rα複合体に結合し、3量体間のgp130とIL-6/IL-6Rα複合体の結合を阻害するヘリックス・ループ・ヘリックス・ペプチドです。