腫瘍血管新生阻害薬
ベバシズマブ(アバスチン®)はVEGF-Aに対するヒト化モノクローナル抗体であり、大腸がん、腎がん、および非小細胞性肺がんなどに対する有効性が示されています。これらのがんの治療における本剤のポジショニングはすでに確立していますが、高血圧などの副作用も懸念されています。また、本剤の使用によって延長される生存期間(通常、数か月から23年)とコストとのバランスも良好とは言えず、結果的にその使用率は低いままであり、医療経済学的にも問題となっています。
一方、多くの製薬企業が受容体チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を上市あるいは開発しています。その一部はVEGF受容体に選択的であり、他のTKIはさらに多くの受容体に作用します。TKIはいくつかのがん種(特に腎がん)において一定のポジショニングを確立していますが、既存の化学療法薬と併用すると、有害事象(特に重篤な事象)の発現率が相対的に高くなり、このような問題が使用率の増加を制限しています。
以上のような状況を踏まえ、インタープロテインは、1) VEGF刺激血管内皮細胞の増殖を阻害し、2) キナーゼ阻害作用を示さず、3) 多くの種類の進行がん治療、アジュバント療法、および転移の予防において経口で有用性を示す、という特性を有する低分子腫瘍血管新生阻害薬の実用化を目指し、研究開発を進めています。このような新薬は、多くの適応症を取得でき、また各がん種における使用率も高まると期待されます。